このハクビシンはいったい何だったのだろうか。これほど危険な男の前で爆睡するなど、よほど度胸の据わったハクビシンに違いない。ハクビシン界のクレイジーランナーということだろう。
【三重県東紀州地域①】尾鷲市~御浜町の見どころ
引き続き商店がない、峠道が断続的に出現するルートが続く。三重県の南西部はマジで容赦ない。
さらに山間部なので日陰の場所が多く、雪が残っていて風が強かった。結果、私の身体は動かなくなった。
①尾鷲市エリア
尾鷲市街地には商店がある。コンビニによって確実に補充してからスタートしたい。しばらく峠道となるからだ。グーグルマップで事前確認した際、松本峠を通ると思っていた。しかし実際に通ったのは矢ノ川峠だった。クレイジーランナーの無鉄砲チャレンジではよくあることだ。
景色はいいが、なかなかの標高差を登る。ここで走れなかったのが痛かった。身体が温まらずかじかんでしまった。後でどんなに強い意志で走ろうとしてもダメだった。
②熊野市エリア
山の中で熊野市に入るが、まだまだ何もない。道の駅きのくにがあるが、残酷にも休業日だった。当たり前だ。この日は2021年の元日、日本は働き方改革の波が押し寄せてきているのだ。誰も元日に矢ノ川峠を人間が走って越えてくるなんて思わないだろう。自動販売機を使わせていただけるだけで幸運なのだ。
ちなみに”きのくに”とは、紀の国でも木の国でもない。となりに”ウッディワールド”なんて書いてあるからミスリードを引き起こす。きのくには鬼の国だ。上に鬼さんの絵が描いてあることからもわかる。鬼はdemonらしいので、デーモンワールドということだ。鬼小暮ということなのだ。
私は鬼ではなく、爆睡ハクビシンに遭遇した。
③御浜町エリア
熊野市から御浜町に入ってすぐ、神志山駅があった。不本意だが、私は電車に乗った。ゴールの新宮市で宿をとってしまっていたからだ。次の日、始発で神志山駅まで戻り、再スタートすることにした。
御浜町付近ではお寿司を食べることができた。本当に、本当に美味しかった。お米の上で切り身になっているお魚たちが輝いていた。ありがとうございました。
【まとめ】4日目は40km、あと10km届かなかった…
翌日のことを言ってしまえば、実際には新宮市まで実測値で16.0kmあった。安全な道をチョイスしたために若干遠回りしたせいもある。
4日目でのゴールを諦めたのは、結果的には大正解だった。日没後に通るには、紀宝町の道は狭すぎる。それに、5日目に出会えた美しすぎる景色とかわいいウミガメさんを思えば、本当に良い決断をしたと思う。
人生万事塞翁が馬だ。瞬間的に悪いことが起きても、それがどんな未来を連れてくるかわからない。
長い旅の終わり、5日目に続く。
【見れるで!】YouTube動画のご紹介
北半球イチ過酷とは大きく出たものだ。ほとんどの日本人がコタツに入り煎餅やミカンを貪り食う中、クレイジーランナーは吹雪の峠に立ち向かう。そんな男が、一人くらいいてもいい。
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