とうとう人生の目標としてきた日本縦断が目の前に来た。乗り越えるべき障壁は多い。それは意外にも、体力面以外のファクターが大きかった。
【動機】なぜ犬走タリオは日本を縦断するのか?
走って日本縦断できる人間なんて、ほんの一握りしかいないはずだ。能力的にはできる人間はたくさんいるんじゃないかと思う。だが実際に行動に移せる人間は一握りしかいない。私はやってみたい、心から。生まれ育った日本という国を、端から端まで走ってみたい。
それに、群発性頭痛の患者が日本縦断していたら面白いじゃないか。そんな群発性頭痛患者が一人くらいいてもいい。
【考察】日本縦断ルートを考える
日本を走りきるためにはどんなルートをとればいいのだろうか。まずは肩の力を抜いて、大枠を考えてみようと思う。
①徒歩通行不能箇所が2点ある
日本を縦断するには2回海を越えなければならない。函館・青森間と、下関・九州間だ。つまり、2回も乗り物に乗る必要がある。(憤怒)
と思っていたのだが、これは大きな勘違いであった。下関から越える関門海峡は、人間が歩いて通れる。無料で所要時間15分程度らしい。
クレイジーランナーは2022年現在、九州上陸経験がない。経験のない土地の知識など、この程度ということだ。乗り物に乗るのを極端に嫌う私である。この情報は非常にテンションが上がるものだった。
つまり、日本縦断において乗り物に乗るのは函館・青森間のたった1箇所ということになる。ここは毎日フェリーが何本も出ている。おそらく、通行に困るようなことはないだろう。
1つ選択肢があるとすれば、函館から本州への港は青森港と大間港が選べるということだ。大間港の方がはるかに早く到着するが、当然かなり回り道をすることになる。今のところ青森港をチョイスするつもりだが、なんだかちょっとズルしている気もしなくもない。本州でのルートも鑑みて、どちらの港を選ぶか考慮したい。
②季節とスタート地点を考える
私は容赦なく走りやすい季節をチョイスする。
灼熱の夏場に日本縦断するのは難易度が跳ね上がるだろう。雪が降る季節も同様だ。
すると、必然的に春か秋の2択ということになる。私は春の方がテンションが上がるので春を選びたい。だって、これから始まっていくぜ感が強いじゃないか?そういうことだ。現実的な理由としては、虫が少ないことも大きな理由に挙げられるだろう。
方向に関してだが、これは北海道最北端の宗谷岬発にするか鹿児島最南端の佐多岬発にするかということだ。気分的には鹿児島発にしたい。なぜなら私は北海道大好きボーイだからだ。できれば日本縦断を達成した後、北海道をウェイウェイ豪遊したい。しかしダメだ。日本縦断という尊い目標の前では、ススキノの街並みやスープカレーの魅力など無力だ。
私は北海道発をチョイスする。これは大きな理由がある。ヒグマ対策だ。北海道には日本最危険野生動物であるヒグマの生息地だ。近年、札幌市内でも目撃例がある。いちいち稚内の宗谷岬に出向く私がヒグマに遭遇したとしてもなんの不思議もないだろう。よって、熊スプレーを携帯する必要がある。熊スプレーは超軽量級ランナーである私にとっては立派な荷物だ。できれは早い段階でドロップしたい。だからこその北海道スタートだ。函館に着いた時点で、スプレーを手放すことができる。
春、おそらくは4月1日に北海道最北端をスタートする。これが私にとっての最適解だ。
③だいたいの距離を計算してみる
日本縦断にしては、ルートをきっちり選定することにあまりテンションが上がらない。なぜなら、私は自身のチャレンジにreckless(無鉄砲)精神を大切にしているからだ。知識がある場所を走るより、ようわからん場所を走る方がはるかに難しい。私は2回、四国遍路1200㎞を走っているが、初回の25日に対して2回目は19日だ。同じ人間が走ってもそれだけの差がつく。楽になってしまうのだ。よって、日本縦断はようわからん状態でスタートしたい。
いったん日本縦断の距離をざっくり算出してみよう。すでに日本縦断をしている人はたくさんいるが、ちゃんと距離をはっきり言っている人はインターネット上に見当たらない。走破することが目的であって、細かい距離にフォーカスすることはないためだろう。私は(元)品質保証屋だ。数字にうるさい。自分が走った距離や摂取したカロリーなどは、把握していないと気が済まないのだ。もし私が日本縦断に成功した場合は、あなたに正確な日本縦断の走行距離をお伝えすることを約束しよう。
距離の概算(最短距離byグーグルマップ)
- 宗谷岬 → 函館港 568km
- 青森港 → 関門トンネル 1478km
- 関門トンネル → 佐多岬 427km
そう、グーグルマップはいつもこうだ。お世話になってるのであまり文句は言わないことにするが、距離を過小評価する傾向がある。過信は禁物だ。だいたいいつも1割増し~2割増しで考えるとちょうどよくなる傾向がある。今回は15パーセント上乗せして、2844㎞であると考えておく。
【課題】乗り越えるべき障壁
私のチャレンジのアウトラインが完成した。では、それをクリアするために必要なものとはなんだろうか?
①【体力】日々こなすべき距離
とりあえず単純計算しよう。
1日当たり平均で55㎞走る必要がある。これは難しいだろうか?ということなのだが、過去四国遍路1200㎞に20日以内で挑戦したときの実績で考えてみる。
ん?平均60㎞オーバー走れているじゃないか。
この四国での実績を参考にするうえで気を付けなければならないのは、そもそも距離も日数も日本縦断の40%程度しかないということだ。四国の2.5倍の距離と期間をこなさなければならないことは重要な負荷だろう。
しかし、有利な材料もある。おそらく日本縦断より、四国の方がはるかに道が険しい。幾多の難所をクリアし、日々険しいアップダウンに耐える。商店も少ない。日本縦断に関しては、ルート選定が非常に柔軟だ。
データで見る限り、日本縦断をこなす体力はすでに持ち合わせている可能性が高い。かつて経験したことのない期間走り続けることができるかがテーマになってくるだろう。
②【道具】バックパックの大きさ
靴やウェアなどは、今まで使用してきたものの延長で問題ないだろう。モバイルバッテリーなども同様だ。
考慮する必要があるとすれば、野宿の可能性があるのかどうか?で決まってくる。
野宿をするということは、着替えやタオル類・モバイルバッテリーも複数日分必要になる。これらを用意する場合、私が現在使用している極小のバックパックでは対応不可能だ。
この問題は棚上げだ。野宿をする必要があるのか、また自分が野宿に耐えられるスペックなのかがわからない。いったん荷物問題は保留とする。
③【経験】野宿スキルの低さ
私はほぼ野宿を行ったことがない。初回の四国遍路で1日野宿っぽいことをやったのだが、ゴキブリが多すぎて2時間ほどしか眠れなかった。結果的に日程を多く費やすことにつながったし、精神衛生上もよくなかった。また野宿をする場合、方法論を考えなければならない。
私は潔癖症だ。お風呂に入らないで過ごすことが耐えがたい。普段であればキレイ好きというメリットのあるスキルだが、サバイバルにおいては致命的な弱点だろう。
さらに、私のバックパックが小さいことも大きく影響している。ランニングのしやすさを優先しているため、多くの荷物が積めないのだ。このことは、大きく変更したくはない。
この問題も棚上げだ。判断材料が乏しすぎる。
【真実】本当の敵はそんなところにはいない
実は、まだ言及していないイチバンでかい障壁がある。それは金を稼ぐことだ。日本縦断にあたり、100万程度失う覚悟をしなくてはならない。加えて、2ヶ月程度いっさい仕事ができないことを考慮する必要がある。長期間のチャレンジで最も苦労するのは金策というわけだ。体力でも、ルートなどの方法論よりも金銭面の方が頭を悩ますだろう。
こういったチャレンジをする場合、クラウドファンディングのように他者から出資を募る方法をとる人も多い。そういった人を批判する意思はまったくない。が、私の精神構造上チャレンジの費用を誰かに負わせることなど絶対にしたくない。それは私の中では、日本縦断中になんらかの交通機関に乗るようなものだ。チャレンジの形が変わってしまう。
よって、私は自力で金を稼ぐ必要がある。ここで言及すると長くなるから記すのはやめておく。日本縦断に成功したら、この金策についてのメソッドも惜しみなく公開するつもりだ。
【まとめ】日本縦断のために乗り越えるべき障壁
- たぶん体力的にはいける
- 装備は考慮する必要がある
- 野宿の必要性について検証する必要がある
- 日本縦断のための資金、チャレンジ中の収入減を確保する
これらが日本縦断に対する私の課題となる。
より課題の解像度を上げるためにも、規模感を小さくして何らかのチャレンジを行うのがいいだろう。野宿を含めて数百キロ規模のランニングチャレンジをする。これを2023年のテーマに入れることにしよう。
【オマケ】植村直己さんの日本縦断
冒険家の植村直己さんは、52日間で日本縦断を実施した。これは南極大陸横断の練習として行ったものだ。非常に身軽な格好で、雨具と35000円程度しか持たずにスタートして達成している。私が52日で日本縦断を目指すのは、この植村直己さんの記録をお借りしているというわけだ。
植村直己さんが南極を目指して日本列島を縦断したように、私もカナダ横断を見据えて日本縦断に挑む。
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