毎日そう思う。激しすぎる頭痛を感じながら。
【回想】サラリーマン犬走の苦悩
『お疲れさまでした!』
『あ、犬走くんありがとう。ゆっくり休んでね。』
私は夜勤明けで退勤しようとしていた。時間は『11:56』正午直前だ。すでに4時間の残業をしていた。
私の勤務する”信濃インダストリー”は、長野県の諏訪市にある製造業の会社だ。今年度から県内のトップ企業”エイコーネクサス”と提携し、新たな工場を建設した。私だけでなく、多くの従業員が湯水のように残業時間を消費していた。工場内には常に、学園祭準備中のような焦燥感が充満している。
私はまだ2年目の駆け出し社員であったが、この新しい工場での新プロジェクトに参画していた。当たり前だ。私は常に同期の中で圧倒的な成績を残してきた。もはや比べられる対象は同期ではなく、中堅社員の先輩たちになってきている。多少の忙しさやプライベート時間の減少など、全く意に介していなかった。
『犬走くん、だいじょぶかい?顔色悪いみたいだけど…。』
私の上司になったばかりの”風間係長”が心配してくれている。さすがの気遣いだ。係長も他の事業所で結果を出し、この新工場へやってきた。このプロジェクトが成功すれば、すぐに課長に出世するだろう。
『大丈夫です。ちょっと疲れがたまっているのかもしれないですね…。』
そう言って私は職場を出た。しかし、係長の心配は恐ろしいほど的中していた。近頃なぜか、退勤時間に決まって激しい頭痛に襲われるのだ。たぶん、長時間勤務と仕事のストレスのせいだろう。少し休んで薬を飲めば治るさ。そう考えていた。
しかし今日はどういうわけか、いつもより頭痛が激しい。左側頭部に脈を感じる。まるで、左目の後ろ側に心臓が移動したかのごとく鼓動をうっている。
『なんなんだよこれ…。ふざっけんなよ…!』
左目が開かない。あまりにも痛みが強いからだ。手のひらで左目を覆うように抑えていたが、その手が濡れるのを感じた。涙だ。私の左目から、とめどなく大量の涙が流れていた。
駐車場まではわずか50メートル程度の距離であったが、それがあまりにも遠く感じた。運転できるだろうか?と心配していたが、これでは歩行することすらままならない。私はなんとか車に辿り着き、シートに身体を収めることに成功した。
『いてぇ…。マジなんなんだよこれ…。』
私は気付かないうちに意識を失っていた。
暑い。喉がカラカラだ。私はサウナ状態になった車の中で目を開けた。
汗だくだ。車の中で眠ってしまったようだ。貴重なプライベート時間を失ったことに対して苦笑した。早く自宅に帰ろう。
頭痛は治まっていた。頭の奥の方で、激しい痛みの残りカスのような不快感が残っている。なににせよ、治まってよかったという気持ちが大きかった。
しかし私は時計を見て唖然とした。
『15:48』
なにかの間違いじゃないのか?信じられなかった。私は3時間以上、車の中で意識を失っていた。
【激痛】群発性頭痛の”痛み”のメカニズム
サラリーマン時代のわたくしの、かわいそうな回想を物語仕立てでお送りしました。かわいそうだったでしょう?
群発性頭痛患者は、なぜ激しい痛みに襲われるのか?そのメカニズムにせまっていきましょう。
①脳の視床下部が刺激される
現在でも、群発性頭痛の原因ははっきりとわかっていません。脳の”視床下部”に関係があると言われています。キッカケは視床下部への刺激にあるようです。
まぁ、ここら辺はお医者様でも謎なので考えるだけムダですね。
②三叉神経周辺の血管が拡張される
視床下部が刺激されると、目の奥にある三叉神経が痛みを感じます。この”目の奥”というのは群発性頭痛において非常に重要なキーワードです。激しい痛みは常に”目の奥”にあります。
三叉神経の周りの血管が拡張します。これも非常に重要なことです。
③そしたらもう、激痛ですわ。
三叉神経まわりの血管が拡張した結果、血管の周囲に炎症を起こします。
その炎症が三叉神経を刺激するため、とんでもなく激しい痛みが起こるのです。
【まとめ】目の奥から激痛があふれ出す
物語の中にあったように、群発性頭痛の痛みは常軌を逸していると言えます。慣れてくると『早く意識飛ばねぇかな』とマジで思います。
群発性頭痛の痛みがこの半分程度であれば、間違いなく今より困っていないでしょう。今でもサラリーマンをしていたかもしれません。
群発性頭痛は地獄です。しかし、対抗手段がないわけでもありません。それに対しては、順を追ってこのブログでお話していきましょう。
【次回予告】病気のくせに律儀すぎるんですよ
群発性頭痛はアホほど律儀です。デートの時間には絶対に遅れない紳士かと思うくらい律儀です。
どのように律儀かは、次のブログで。
更新を待たれよ!
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