【群発性頭痛】変わりゆくモノ、変わらないモノ(診断後の世界)

【超痛ぇ】群発性頭痛の生き方

”クレイジーランナー”とはいったい何者なのか?(自己紹介)

自分の病名はわかった。しかし、私の人生は改善されなかった。

【回想】サラリーマン犬走の逡巡

『大丈夫か?よく医者に診てもらえよ。』

『すみません、失礼します…。』

あーたんと過ごした花火大会の週末があけた月曜日、私は出勤していた。しかし昼休み直前からひどい頭痛に襲われ、不本意だが退社して病院へ行くことにした。痛みが激しくて左目が開かない。涙があふれる。悲しいからじゃない、痛みのせいで勝手に流れてくるのだ。

クスリは処方されていた。だが、先週から激しい発作が毎日起きていた。運が悪い日には1日2回発作が起こる。よって、クスリを使い果たしてしまっていた。すぐさま病院で処方していただく必要がある。

一度目の発作は決まって正午前後にやってくる。凄まじく律儀だ。しかし、2回目である夜の発作となると突然いい加減になる。バラバラの時間帯にやってくるので身構えることができない。私の頭痛に関しては、昼と夜で窓口担当者が変わっているのではないだろうか。

こんな状態で運転はしたくなかった。しかし病院に行く必要がある。私には選択肢が一つしかなかった。右目だけを開けながら、愛車のハンドルを握る。

以前は同じ状況の時、寺林主事が車で病院まで送ってくれた。しかし、優しかった寺林主事はもうこの事業所にはいない。私と製造3課を最大の職場に作り上げた、風間課長もいなくなっていた。異動になったのだ。

我が信濃インダストリーの最大の取引先であるエイコーネクサスは、海外拠点へと工場を移管していた。凄まじいスピードでだ。結果、我々の受注する仕事はかつての十分の一にまで減少。多くの優秀な上司や部下たちが、自分の元を去っていった。

私も異動を申し出た。こんな生命維持装置に繋がれた老人のような工場で働いていたくはなかったからだ。かつてのように価値のある仕事がしたい。しかし私の望みは叶わなかった。評価を高めすぎたツケだ。この事業所は、私を手放したくないらしい。

信号待ちだ。左側頭部が激しく痛む。俺は何をやっているんだ?こんな状態で運転をしては事故を起こしかねない。そんなことはわかっていた。しかし、会社からは自分で病院に行くように言われていた。会社にも一社員の体調不良の世話を焼いているような、そんな余裕はないのだ。私は言えなかった。車を出してほしい、その一言を。

青信号になった。車を動かす必要がある。私はギアを1速に入れ、愛車を発進させた。はたから見れば、鬼の形相で激怒しながら運転している男に見えていただろう。左目からは涙が流れ続ける。私は左目を強く閉じ、右目だけで運転を続行した。選択肢はない。そうするしかなかった。

かかりつけ医を作り、群発性頭痛と戦うスタートラインには立てた。しかし痛みは依然、私の頭から居なくなるわけではない。環境は変わっていく。激しい痛みだけが変わらずに残っていた。

 

【障壁】群発性頭痛の患者にとって難しいこと

残酷な事実として、群発性頭痛だからといって周囲が気を遣ってくれるとは限りません。少なくとも私は、会社員時代にはこの病気であることが大きくマイナスに働きました。

今回は、私が生きる上で感じた困難なことをまとめてみました。群発性頭痛の方は共感していただけるかもしれません。群発性頭痛ではない方は、この病気を疑似体験する感じでお楽しみください。

これは大前提ですが…。以前の記事でも書いていますが、群発性頭痛には発作の起きる群発期と、なぁんにも起きない寛解期があります。群発期は1~3ヶ月なので、寛解期は11ヶ月~9ヶ月ということになります。寛解期の方がはるかに長いんですわ!

優しい方は常に気を遣ってくださいますが、人生の大部分は痛みと無縁と言えます。なので、なんにも考えずに病気のことすら忘れて生きる時間は結構長いと言えますね。

 

①運動できなくなるし、サウナに行けなくなる

これはクレイジーランナーである私にとって由々しき事態でした。運動するともれなく発作を誘発します。血流が良くなるからですね。群発期にはほとんど走れなくなります。

それと同時にサウナや温泉なども楽しめなくなります。調子こいて健康ランドに行った時がありましたが、凄まじい発作が起きて駐車場で意識を失っていました。あーたんからLINEの着信が来まくってて、アイコンの右上に(102)の数字がついていたのを思い出します。デートの約束をしていたので、鬼電&鬼スタンプが来ていました。めっちゃ怒ってて、ビンタされたのをいま思い出しました。(迫真)女の子を待たせちゃいけないですね。

 

②タバコと酒がとにかくキライになる

運動同様、タバコと酒もダメです。やはり血流が良くなって発作が起きてしまうんですよ。どんな愛煙家や酒豪でも、群発期だけは手を出さなくなるようです。

私は元々どちらも苦手だったので問題ありませんでした。が、狂犬病患者が水を恐れるがごとく敬遠していたので、人が吸うタバコや酒の匂いにもめっちゃ敏感になります。女の子とデートで居酒屋に行くくらいならぜんぜん平気ですが、隣でタバコを吸われるのは絶対にムリでした。

書いてて思いましたが、これってそんな問題ではありませんね。タバコや酒が苦手な人なんて、世の中いくらでもいるからです。困るのは、自分が吸ったり呑んだりしたい場合だけでしょう。

 

③周囲への説明が大変

これが一番大きいかもしれません。特に所属する会社への説明が苦労すると思います。会社としても、言われたからにはどうにかしないといけない的なところがあるのでしょう。さんざん病気については説明してきましたが、結局深く理解されることなどありませんでしたし、なにかしてもらったこともありません。休暇はもらいましたが、体調不良で欠勤することなど誰でもあることです。それについて問題視されるのであれば、その企業体の方に問題があるでしょう。

家族や友人・恋人にも説明はしてきましたが、悪いけどちゃんと理解してくれた人は一人もいません。むしろ、気を遣ってその話を避けてくれていたのかもしれません。

よくわからない民間療法を勧められたり、ストレスが原因だからこうした方がいい!みたいな根拠のないアドバイスをもらったこともあります。これ自体がかなりストレスでした。

 

【最適解】理解を得ることはとっとと諦めていい

文句みたいになっちゃいましたが、私は別に理解してもらえないことに対して憤ったことはありません。むしろ『それが当然』だと感じています。他者の病気に関してそれほど真剣になれますか?って話です。私もそう。自分じゃない誰かの病気について、深く調べることなんてないでしょう。

私にとって重要だったことは、説明して理解してもらおうとすることから、説明しなくてもいい生き方にシフトしたことです。単一の企業に依存するのを辞め、フリーランスとして生きていく覚悟を決めた日に、私はすべてから解放されました。

理解してもらえると思うのは、諦めていいんです。私は現在誰にも気を遣って生きていませんが、それでも多くの仲間と生きることができています。

 

【次回予告】約束を破った悪魔

律儀すぎる悪魔。私にとっての群発性頭痛はそんなキャラです。ところが、そんな律儀な彼が大きく約束を破ったことがありました。あれは彼からの、最後のお別れだったのかもしれません。律儀な悪魔からの、最後のメッセージとは。

次回更新を待たれよ!

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