保健所での検査は本当にストレスフリーだった。たった一つのことを除いては。(自分のせい)
【謎】保健所とはどんなところなのか?
近年の感染症でよく耳にした”保健所”。大変重要な仕事をされているという認識はあったが、自身が出向くことはなかった。
期せずして今回HIV検査を受けることになったわけだが、非常にスムーズで丁寧な対応をしていただいた。今回は、どんな検査をしていただいたのかを記していこう。HIV検査に興味がある方は、ぜひ参考にしていただきたい。
【検査】各種、性感染症の検査を受ける
前回の記事でも書いたが、保健所では3種類の性感染症について無料で検査を実施していただける。これは非常にありがたいことであり、ぜひ積極的に利用させていただくべきだ。同様の検査は病院でも可能だが、必ず有料となる。HIV検査だけでも、1万円弱の自己負担となるだろう。
では、それぞれどんな検査を行うのだろうか?
①【HIV】血液検査を行う
まずは保健所に入る。電話の段階で部屋を指定されているので、そこに入る。部屋には誰もいない。電話機だけが置かれている。さしずめ、波平の勤務している会社の机くらいすっきりしている。彼はあの簡素な机の上で、いったいどんな仕事をしているのだろうか。
話が逸れた。電話で係りの方を呼び出す。これは受付で『HIVの検査にきたんですけど!』と言わなくてすむための配慮だ。非常にスマートな対応だ。ありがたい。
やがて2人の職員の方が登場。紙でのアンケートに答えることになる。個人情報に関して伝えるのは”年齢”たった一点のみ。HIV検査を受けるまでの精神的な障壁を極限まで下げてくれている。非常にスマートな対応だ。ありがたい。
他には検査に来た動機を問われる。これに関しては、私は少し抵抗を感じた。すなわち、直近の性行為について聞かれるということだ。私は仕事でHIVの知識を得たという理由を素直に答えたので、性行為に関する報告はしていない。過去の性感染症感染経験を答えた程度だ。
前回の記事でも書いたが、(個人的には)特定の性交渉でエイズ感染を疑うのはナンセンスだと感じる。なぜなら、HIVウィルスの感染力が極めて弱いからだ。感染力が弱いのにどんどん広がっていることがとんでもなく問題なのであって、その事実をきちんと教育するべきだと思う。よって、特定の性行為にフォーカスすることは『ちゃんと気を付けていればエイズなんてかからないよね』的な勘違いを助長しかねないのではないかと感じる。
エイズは膨大な性行為の回数をこなすことで一定の割合の人が罹患するのだ。その事実に向き合う必要がある。『俺はそんなにやりまくってないから大丈夫』という考えこそがもっとも危険だ。たとえ1回でも、低確率にぶち当たる可能性はある。生まれながらに激レアな病気(群発性頭痛)を手にした私が言うのだから説得力があるだろう。
話を戻そう。アンケートに答え、血を抜かれた。以上だ。今回は迅速検査というソッコーで結果がわかる優れモノの検査だ。たった1時間待つだけで自身が陰性どうかわかる。
②【梅毒】血液検査を行う
実はHIV検査と同時に梅毒検査も行える。つまり、1回の採血で両方の検査をしていただけるということだ。
注意事項として、HIV検査も梅毒検査も抗原検査だ。2~3か月前までに感染していれば正しく判定することができるが、直近の感染についてはスルーしてしまう可能性が高い。
③【クラミジア】尿検査を行う
クラミジアだけは尿検査だ。よって、この検査結果だけは判定に時間がかかる。了承されたし。
ちなみに、尿検査以前の2時間は排尿をガマンする必要がある。これが地獄地獄の大地獄であった。私はおしっこが近いのだ。暴発寸前になり、ちびっ子のように保健所の廊下でモジモジしてしまった。掃除のおばちゃんに疑いの目を向けられたのは言うまでもない。
結果的には暴発を免れた。私は助かったのだ。人間としての尊厳を守ることに成功した。ありがとう保健所の皆さん。
このクラミジアの結果だけは後日、予約をとって直接結果を聞く必要がある。なぜか?電話だと本人確認ができないからだ。保健所の方たちの活動にも理解を示すことが大切だ。検査をさせてもらうのだ。協力していこう。
【結果発表】クレイジーランナーはHIVだったのか?
1時間後、私は指定された部屋で待機していた。担当者の方が部屋に入ってきた時点で結果がわかってしまった。私は他人の緊張感や表情を読み取るのが異常に得意なのだ。
結果は陰性。ちなみに、陽性という判定はされることはない。疑わしき場合は再検査となる。これは、抗原検査の精度が完全ではないことに起因する。怪しいときは、もう一回詳しく調べてみましょうねということだ。
【疑問】担当者さんに、逆に聞いてみたよ
どうしても聞きたかったので、バイバイする直前に担当者さんに聞いてみた。
答えは、かなり少ないとのことだった。近年の感染症流行もあり、かなり規模を縮小して活動されているとのこと。
もともと枠もかなり少ない。月間で14名しか検査するキャパシティがないのだ。だとすると、年間でも最大で200名にも満たない検査数となってしまう。保健所のされている活動は素晴らしいのだが、この規模ではエイズ患者の増加を食い止めるのは難しいかもしれないと感じた。
結局、自分の身は自分で守るしかない。以前の記事でも書いたが、HIVウィルスに感染したとしても、正しい治療を行えば健康な人と同様の生活が送れる。そのためにはやはり早期発見が非常に重要だ。この記事を読んでくださったあなたがHIV検査を受けに行ってくれたら、それ以上に嬉しいことはない。
【次回予告】HIVの現状と事実
検査のときに、エイズに関するパンフレットをもらった。日本や世界に関する興味深いデータが掲載されている。せっかくなので、私が重要な部分だけかいつまんでお伝えしようと思う。
次回更新を待たれよ!
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