【群発性頭痛】約束を破った悪魔(病状の変化)

【超痛ぇ】群発性頭痛の生き方

”クレイジーランナー”とはいったい何者なのか?(自己紹介)

彼はいつも律儀であり、来訪の季節や時刻を間違えることはなかった。最後の一度だけは。

【回想】サラリーマン犬走の別れ

『犬走係長、ありがとうございました。』

『犬走サン、ムイトオブリガード!(超ありがとねぇ)』

私は50人ほどのメンバーと最後の挨拶を交わしていた。会社を退職することにしたのだ。10年以上勤務した”信濃インダストリー”を離れるのは、正直名残惜しかった。

違う。怖かったのだ。10年勤務したという実績、そして役職者としての肩書を今日失う。私はこの会社を出てマトモに生きていけるのだろうか?そんな不安はとても大きかった。しかし、このまま会社員として働き続ける難しさも十分理解していた。

会社を出ると、心からかわいがっていた5人の部下たちとラーメン屋に行った。両目から涙が出た。発作が起きたわけではない、悲しかったのだ。

自分の弟・妹ほど大切に思っていた部下たちと別れたあと、私は帰宅しようとした。できなかった。電話がかかってきたのだ。

『もしー?プータローおめでとー!』

看護師のななっちだった。女友達だ。

『ヒマでしょ?てゆーかこっちこない?』

すでに時間は23時に迫っていたが、明日以降なにも予定がないのだ。かわいい子とまったり過ごすのもいいだろう。ちなみに、ゴリゴリのギャルあーたんとは、数年前に凄まじい大ゲンカを経て別れている。まぁ、長い人生ではよくあることだ。私はななっちの元へ車を走らせた。


【AM3:30】

私はななっちと別れ、帰路に着いた。まるで10代の若者のような遊び方をしてしまった。まぁいいだろう。長い会社員生活を生き抜いたご褒美だ。

しかし当たり前だが、絶望的に眠い。私は帰宅を諦め、河川敷沿いの駐車場に車を停めた。ななっちの住む街は私の街からずいぶん離れていた。まだ1時間以上はかかる。

私は気持ちばかり車のシートを倒し、少し仮眠をとることにした。


【AM5:20

なんだこれは。私は大きな異変に気付いて目を覚ました。左側頭部が凄まじく痛い。いったいなんなんだこれは?私は混乱した。

これは群発性頭痛の発作なのか?私にはわからなかった。経験上、群発期はいきなりやってくることはない。遠くからゆっくりと近付くように、痛みもだんだんと強くなるものだ。このところ発作など全く起きていない。もしこれが群発性頭痛の発作だとしたら、セオリーからずいぶん外れている。可能性として、脳梗塞のような重篤な病気を考える必要があるかもしれない。

私は仮眠をとったことを後悔した。今は薬も持っていないし、病院からも遠く離れている。左目からの涙が止まらない。悲しいわけではない、過去に経験がないほどの痛みが私の左側頭部に居座っているのだ。迷っている時間などない、車を早く発信させる必要があった。

早朝で、国道ながらまったく車がいないのは助かった。左目をつよく閉じ、右目だけで前方の安全を確認する。耐えがたい痛みに、私はハンドルを掴みながらうめき声を上げていた。その姿を見た人がいたとしたら、アブナい薬をやっている人だと勘違いしたことだろう。

私は、運転しながら意識が飛ばないことを願った。


【8:45】

目が覚めた。ここはどこだ?地元の病院の駐車場だ。

私は病院まで運転することに成功した。しかし、駐車場で力尽き意識を失ってしまったのだ。狭いシートの上で、バキバキになった身体を起こす。不快な頭痛の残滓が左側頭部に残っている。やはりこの激痛は、群発性頭痛の発作だったのだと気付く。

夏の終わりにやってきて、必ず正午に激痛を与えてきた律儀すぎる悪魔。なぜ今回、何の前触れもなく発作を起こしたのだろう?夜通し遊ぶという不摂生を粛清したのか?それとも、かわいい看護師のななっちと遊んだことに嫉妬したのか。

前例のないことに対し、いくら考えを巡らせてもわからなかった。この人生最大の発作を最後に、律儀な悪魔は姿を現さなくなった

 

【別離】群発性頭痛が弱まるとき

群発性頭痛の患者は、一生涯痛みに苦しむわけではありません。では、どんなタイミングで痛みが弱くなっていくのか?確認していきましょう。

 

①年齢を重ねた場合

群発性頭痛の患者はほとんどの場合、20代から40代です。そう聞くと疑問が発生します。50代になったらどうなるんですかね!?

実は、50代になると群発性頭痛の発作は起こらなくなると言われています。私の場合、50代どころか40代にもなってないのに3年間も発作が起きていません。これで二度と起きないかもしれません。(希望的観測)

 

②血管が硬くなった場合

これは加齢によって群発性頭痛の発作が起きにくくなるのと関連しているかもしれません。年齢を重ねると、血管が柔らかさを失って硬くなっていきます。そうすると、群発性頭痛の発作の原因である血管の拡張が起きにくくなります。

年齢を重ねると”動脈硬化”なんかに気を付けないといけませんが、群発性頭痛の患者にとっては良い結果をもたらすのかもしれません。ですが、意図的に動脈硬化を起こせばいいわけではありません。動脈硬化の原因である喫煙や肥満などは、より深刻な健康被害をもたらすからです。

 

【まとめ】群発性頭痛はいつか終わる

群発性頭痛は別名”自殺頭痛”なんて呼ばれたりもします。患者さんが強すぎる痛みに耐えられず、自ら人生に幕を下ろすという理由からです。

患者の私に言わせると…。痛みも耐えがたいのは事実ですが、日常生活を送るのが困難になるのが一番キツいと思います。私は会社員として生きる道を、諦めるしかなかった。

ここでもう一度ハッキリ言っておきたい。群発性頭痛はいつか必ず終わるし、群発性頭痛に人間を殺す力などない。群発性頭痛を乗り越えた人はたくさんいます。もし今このブログを読んでくださっているあなたが群発性頭痛に苦しんでいるのであれば、私を信じてみてください。私たちは戦える、そして勝てるんです。一緒に、律儀すぎる悪魔と生きていきましょう。

 

【次回予告】群発性頭痛と一緒に生きていく

もし、群発性頭痛になったら…?

定期的に気が狂うほどの激痛がやってきたら…?

仕事が続けられなくなったら…?

有人や恋人たちが離れていったら…?

それでもまだ、人生は続いていく

次回更新を待たれよ!

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